銀行の住宅ローンを返済したが、もらった書類をなくしてしまった・・・
抵当権抹消登記に必要な書類は
1)銀行の委任状
2)銀行の代表者の資格証明書
3)弁済、解除等を証明する書類
4)登記済証(登記済の朱印のある抵当権設定契約書等)または
5)登記識別情報
と、なります。
※状況により別途他の書類が必要となる場合があります。
1)と3)は銀行が発行する書類ですから
事情を説明すれば、再発行してくれると思います。
2)も備え置きがあるはずです。
ところが 4)または5)は、法務局によって
抵当権設定登記の時に一度だけ発行(通知)されるものなので
それがなくなってしまったら、銀行にはどうすることもできません。
※この場合の登記済証、登記識別情報は、それを持っているその
銀行が抵当権者であることに間違いなく、そしてそれを法務局に
差し出すことでその抵当権が抹消されることに合意している、と
いうことを証明するためのものです。
したがって、登記済証または登記識別情報がないときは
特別な手続きによってそれらを証明しなければ成りません。
まず、登記済証または登記識別情報のない場合の抵当権抹消登記申請
には、登記義務者の印鑑証明書を添付しなければならないことになっ
ています。
つまり、銀行の委任状に実印(代表者が法務局に登録している印)を
押印してもらい、かつその印鑑証明書を出して貰います。
さらには、登記済証、登記識別情報に替わる書面が必要となるわけ
ですが、第1に、申請代理人となる司法書士が、銀行の融資課長、
担当者などを本人確認し、本人確認情報を作成するという方法が
あります。
この方法は、司法書士が、銀行側が抵当権の抹消に合意していること
を保証する形で、法務局としては司法書士への信頼のもとに、そのまま
登記をすすめることになります。
※ 抵当権を抹消するのと同時に、売買などによりその所有権を
移転するという同時決済取引の際には、相手方(買主)に不測
の損害を被らせないよう確実に抵当権を抹消するために、ほ
とんどの場合、本人確認情報を作成します。
この場合は、別途司法書士に対する書類作成費用が発生する
ことになると思われます。
第2に、抹消登記をするのに時間的余裕がある場合には、上記の本人
確認情報の作成を省略する方法もあり得ます。
具体的には、登記済証も登記識別情報も添付しないで登記申請をします。
そうすると法務局は、事前通知といって、登記をする前に銀行に対して
直接に「このような抹消登記の申請ありましたが、申請の内容が真実で
あれば申し出てください」というような内容の通知をします。つまりは
抵当権を抹消してしまってもよいか、というお尋ねを郵便を介してする
わけです。銀行から期間内に、間違いない旨の申し出があれば、登記が
実行される(抵当権登記が抹消される)ことになります。
郵便によるやり取りが必要となるため多少時間はかかりますが、この
方法によれば、本人確認情報作成相当の費用が節約できるのではないで
しょうか。
まずは、銀行に相談してみてください。
当事務所でもご相談承ります。
お気軽にご連絡下さい。
※事前通知による登記の申請は、すでに完済している抵当権登記を抹消
する場合で、相手方(銀行等)の協力が間違いない場合にお勧めするもの
です。相手方が、法務局からの通知に対して、申し出を怠った場合は
登記申請が却下されてしまう(抹消できない)のでご注意ください。